春秋美人図<春>(1806〜13)絹本着色
振袖を着た武家の年若い娘姿を、大胆な弓
なりのポーズで
美しさを際立たせています。
彩やかな花模様の振袖と対比する顔や肌の
白さは、胡粉の
効果でしょう。
浮世絵の優しさ美しさが最大に発揮されています。
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年始まわりの遊女図(1815〜19)
新年の挨拶まわりに花魁が廓内を高下駄を
引いて道中する
姿を、縮みの強い描線で描いています。
衣裳も髪飾りも豪華で、よほど高位の花魁の晴れ姿だと
思われますが、取り巻きの禿や芸者や若衆が描かれていない
ところが孤高さと哀愁を感じさせます。
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春秋美人図<秋>(1806〜13)絹本着色
春図と対の秋図であることは、娘さんが虫籠を
持っている
ことで判明します。
着物、髪型から商家の若い娘だと思われます
が、春図と
同じで腰を反らせて若さを強調
しています。
友禅浮世絵作品で振袖のやわらかさと肌の白さを表現できた
ことに満足しています。
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きぬた(砧)美人図(1811年頃)
きぬた(砧)とは、木の槌で布をたたいて、布地
にやわらかさや、
光沢を与えたりする作業のことで、この時代の主婦の仕事の
ひとつでした。
着物や布の輪郭線に縮れた線が使われているのが、北斎独特
の技法で、熟女の妖艶さが着衣の乱れに表れています。
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雪中傘持ち美人図(1813、14年頃)
外出の途中で雪にあった娘が、人目に恥らい
を見せて立ち
すくむ姿を、やはり縮れた線描を使って描いている傑作の
ひとつであります。
踊りの所作と思われる姿図に、女性を美しく描こう
とする北斎
のやさしさを感じる作品であります。
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夏の朝 鏡見美人図(1806〜13)絹本着色
友禅浮世絵で北斎の美人画を再生した作品中の傑作として
世間に問いたい作品です。
鏡に写る髪のほつれ、着物柄の細かい模様、どのひとつにも
細心の注意と作品への情熱が感じられます。
北斎が表現したかった美しい
姿態と優しい面影が胡粉の白に
映えて、永遠の美に昇華できるでしょう
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